一時帰国で日本へ戻る

ビザの有効期限が1年なので、このタイミングで日本に帰ることになる。次に行くのは、再度レジデンスビザが発行されてからだ。

最初のビザが降りるのに、約半年以上もかかっていたが、今度はどうだろうか。1ヶ月ぐらいと言っているが、そんなにすんなりと降りるとは思えない。

いずれにしても、ビザが降りるまでは日本で待機となる。

ボランティアの精神

帰国直前、ある大手の会社の社長から一度会いたいとのお誘いがあった。それで、昼食を一緒にしたが、こんなことを依頼された。

「工場の自動化とか現場管理を行いたいので、日本のボランティアを2名ほど、探してくれないか」と・・・

最初に聞いた時は、現在、現場管理という内容で、あるボランティアが活動しているので、不思議には思わなかった。

現場管理とは5S、報連相、ラジオ体操などを日本式経営管理として指導するもので、「なるほど、5Sはこの国には効果的だろう」と思った次第。

ところが、今回聞いたのは、プラス自動化の要求だ。しかも、工場の自動化システムを組上げることを考えているようで、システム設計も含めた総合的な技術力(システム構築能力)が求められる。

「えー、それってボランティアのすること?」の疑問が沸いて来た。

日本の技術力とボランティア

確かに日本で培った技術力でシステムを組上げることが出来る技術者は多いだろう。

スリランカでは、その経験をした人は皆無だし、優秀な人材が海外で働いているにしても、そのような要職に就いている人もほとんどいないだろう。

したがって、スリランカでその人材を求めることは不可能に近い。

かといって、ボランティアで見つけて欲しいとは、どういうことだろうか。

日本だから、そのような人がいるのは事実だけど、それをボランティア(無償)で2名ほど欲しい?

「虫の良すぎる話し」ではないか、とか、本心はどこにあるのだろうか、など、後でじわじわと疑問が沸いて来た

何か勘違いしている

社長の態度は上から目線。まるで、求職の面接のように質問を投げかける。我々ボランティアがスリランカで仕事を探していると勘違いしているのかもしれない。

現地コーディネーターがいつも「日本で長年働いてきた優秀な技術者がボランティアとしてスリランカで貢献したい。

要請があれば申し出て欲しい」と宣伝している。この言葉通りに解釈すれば、「タダで働く日本の技術者が仕事を探している」となる。

ボランティアの精神は?二の次?

民間企業の工場で無償で働く、またはその工場の生産性向上のために貢献する、これは、ボランティアだろうか。

ボランティアと言えば、どこか人道支援、生活支援・援助など、人の為、国のためなどと繋がる部分があって自然。

ひとつの民間企業の工場で何がボランティアだろうか。

災害でもあれば別だが、普通の企業活動の中で、自動化のシステムを組むなんて考えられない。

結局、そんな人はいない

どうもおかしな話だ。「日本で探して、連絡します」と言って別れたけど、よくよく考えてみると、そんな自動化を組むような人材も希少価値だし、ましてボランティアでなんて、まさか・・・。

探す気もしなかったので、そのまま放置していたが、スリランカに戻ったときに「いや、そのような優秀な人材は日本にも稀で、そのような人は、未だに現役でやってます」と答えるしかない。

それで、機会があれば、「ボランティア精神からすれば、民間企業でのボランティア活動は、いかがなものか。もはやボランティアではなく、活動意義もないでしょう」とも言ってみたい。

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