これまで、さくらインターネットが運営するレンタルサーバーライト(以下、さくらライト )とFC2が運用するレンタルサーバーライト(以下、FC2ライト)を契約し、ブログ運営をして来た。
ところが、最近下記のような問題が発生して来たため、新しくサーバーを契約し、データ移行することにした。
旧サーバーでの問題点
- さくらライトでのブログ運営には、さくらブログとtDiaryを使っていたが、ともに、SEO対策には向いていないことが分り、WordPressに切換えたかったが、さくらライトではWordPressは使えなかった。
- 一方、FC2ライトでは、WordPressは使えるが、ひとつのみで、複数のブログ運営ができない。
- FC2ライトでは、phpのバージョンが5.5と古く、7.5に対応したWordPressのテーマが使えない。
- FC2ライトは、容量が5GBで、既に4.4GBを使っており、大きな容量のサーバーが必要だった。
要するに、FC2ライトが容量不足になったのがきっかけで、そのタイミングでWordPressが複数使えるサーバーに移行しようと考えた。
新しいサーバーは、さくらインターネットが提供するレンタルサーバースタンダード(以下、さくらスタンダード)で、選定した理由は下記である。
月々54円ほどのアップで、容量が15GBから100GBへ、WordPressが20個使えるようになった。
さくらインターネットのレンタルサーバーライト、およびスタンダードの詳細は、下記リンクでご確認ください。
旧サーバーから新サーバーへの移行内容
さくらライトとFC2ライトでの運用サイト(旧サーバー)
旧サーバー(さくらライトとFC2ライト)では下記のサイトを運用していた。
さくらライトでのサイト運用
- tDiaryのブログ(ひとつ)
- さくらブログ(3つ)
一方、FC2ライトでのサイト運用
- WordPressのブログ(ひとつ)
さくらスタンダードでの運用サイト(新サーバー)
新サーバー(さくらスタンダード)では、旧サーバーからブログを移行し、下記サイトにて運用する。
- さくらライトのtDiaryをWordPressに変換して移行
- さくらブログをWordPressに変換して移行
- FC2ライトのWordPressのブログを移行
新サーバーへのデータ移行作業
メールアドレスの移行
旧サーバーの2つのドメインを新しいサーバーに移行する。
さくらのメール設定では、マルチドメインに設定されたメールアドレスは同じボックスに格納されるので、ドメインが違ってもアカウント部(@マークより前の名前)が同じであれば、同じボックスに入る。
したがって、ドメインの違う同じアカウント名のメールアドレスがあっても、ここでの設定はひとつしか出来ないことになる。(メールアドレスは別物として使えるが)
現在、2つのドメインで運用中のメールアドレスが合計30ほどあるが、これを17程度にまとめ、登録を行う。
また、初期ドメインを使ったメールアドレスはさくらライトの契約期限が切れた後、使えなくなるので、ユーザー登録などで利用しているサイトは、アドレスを変更する必要がある。
wordpressのインストール
さくらスタンダードでは、wordpressが20個も使えるので、ブログサイトを複数個作成できる。
現状では、取敢えず、tDiaryで運用していたブログとFC2で運用していたブログ、そしてテスト用の3つのwordpressをインストールした。
インストールは、マニュアルの手順に沿って簡単に出来る。手順を下記に示す。
- データベースを登録する
- WordPressをインストールする
- WordPressの初期設定を行う
tDiaryのデータを新サーバーに移行する
tDiaryとは、さくらライトで使用していた日記作成用ウェブアプリケーションであり、さくらライトでブログ作成に使用していた。
tDiary のデータ移行手順は、下記にて行った。
- さくらライトからデータのバックアップ を作成。具体的には、ftpにてtdiaryのフォルダを丸ごと PCにダウンロードする。(ダウンロードには、これまで使っていたWinSPCを使用した )
- さくらスタンダードにtDiaryをインストールする。 (バージョンは、さくらライトと同じ3.02であった)
- さくらスタンダードのtDiaryフォルダに、さくらライトからダウンロードしたDiaryファイルをフォルダ毎アップロードする。(所要時間:WinSPCで30~40分程度)
- さくらスタンダードの当該サイトをブラウザにて開き、動作を確認する。
以上の作業で移行は終了した。移行後の動作は良好であった。
tDiaryをWordPressのブログに変換する
tDiaryはSEOに向かないことや、日記を付ける考えで作られていることで、ブログ運営の目的からズレているとの判断で、WordPressに変換してブログを再構築することにした。
変換ツールをいろいろと探してみて、一番目的に合ったのが、tdiarymtconverter-masterだった。
プログラムをダウンロードしてサーバーに置き、動作させてみた。
ところが、変換できたファイルをWordPressに読込んでみると、ひとつの記事が複数の記事に分断されている。
なぜなら、tDiaryでは、日記の考え方で、1日単位での記事の作成になるので、その中に複数のカテゴリーがある場合や、段落を付けた場合、それを別の記事として取り扱うようになっている。
元のtDiaryと同じ記事数に合わせるには、これを結合する必要があり、かなりの手間となる。
ルビープログラムを修正しようとしたが、初めてのプログラムで、中身を理解するのに時間が掛かりるので、断念。
他にもperlなどで作成されたプログラムや、他のブログ形式に変換後、WordPressにインポートする方法もあるが、どれも一発で変換できるソフトはなかった。
結局、記事の見直し(リンク切れ、イメージファイルのチェックなど)をする必要もあると考え、手作業で変換することにした。(時間がかかるが)
tDiaryからWordPressへの手動変換の手順
tDiaryのdataフォルダには、下記の形式のファイルが入っているので、これを直接WordPressに貼り付けることにする。具体的には、
- tdiary/data/下のフォルダが年別に作成されているので、その内にある拡張子がtd2のファイルをエディタで開ける。このファイルは、年月をファイル名として作成されている。(例:201302.td2)
- エディタ内で、それぞれの日付単位をひと塊りとしてコピーして、WordPressの新規投稿の記事の部分(タイトルの下)に貼り付ける。
- 日付の設定、およびカテゴリーの設定、タグ等を設定する。
- イメージデータを、wordpressのwp-content/uploads/にコピーする。(メディアのアップロードでも、ftpでも可能)
以上の変換作業を100記事に対して行うが、見直しをするのにいいきっかけとなった。
FC2ライトのwordpressをさくらスタンダードに移行
仮のドメインにてWordPressにデータを移行する
サーバー移行時のwordpressの移行の一般的な手順は、ドメイン名をさくらスタンダードに登録し、そこにwordpressをインストールして、その後、旧サーバーのwordpressのインポートを行う方法であるが、今回は、先にwordpressを仮ドメインでインストールしておき、動作テストを行い、問題点を潰した後、ドメインを移行する方法を取った。
こうすることで、事前に問題点を確認し、対処することが出来ると考えた。
WordPressのデータ移行には、”All-in-One WP Migration”のプラグインを使用。無料版なので、イメージファイル(メディアライブラリー)は、FTPにてアップロードをする。
仮のドメインで移行が問題ないかをチェックした後、ドメインを変える。(次節、”FC2ライトからスタンダードへ独自ドメインの移動”を参照。
ドメインの移動について
さくら内ライトからスタンダードへ独自ドメインの移動
さくらライトに登録していた独自ドメインをさくらスタンダードに移動するのに、先にドメインを さくらライトから開放し、2時間程経過後、さくらスタンダードにて登録した。
結果は問題なく移動はスムーズであった。
その後、SSLの設定を行い、https://が使えるようにした。
FC2ライトからスタンダードへ独自ドメインの移動
FC2ライトにて取得管理していた独自ドメインをさくらスタンダードに移動するのには、少し問題が生じた。(管理はFC2でそのままい行い、ドメインの使用をさくらに移動する)
まず、さくらスタンダードにて 移動するドメインを登録しておくことが必要。
次に、FC2に登録したドメインの設定を下記の要領で変更する。
FC2の「ドメイン管理」画面で「DNSの設定」を開き、「DNS種類」の「FC2サービスで使用」を「独自DNS」に変更する。
そして、「ネームサーバーの変更」に下記を設定する
ネームサーバー1:ns1.dns.ne.jp
ネームサーバー2:ns2.dns.ne.jp
ここで大きな問題が発生した。
ドメインはネットワーク上にDNS情報が浸透するまで、使用することはできません
さらくインターネット
さくらライトからさくらスタンダードの時は2時間だったので、これもそれくらいだと思っていたが、いくら経っても旧サーバーが表示される。
そこで、もう使わない旧サーバーのドメインを変更してしまった。
すると、404NotFoundのエラーが発生。つまり、このドメインではどこにも繋がらない状態になってしまった。
これは、サイトの表示はもとより、メールの受信も出来ない状態となった。
一体どれくらいの時間がかかるのか、と思い色々と調べて見たら
ドメインの管理・運用者がA社からB社に変わった場合、中間者(キャッシュDNSサーバー)が受け取った応答をどれだけの時間保持するかは、当該ドメイン名の管理・運用者が権威DNSサーバーの設定として指定できます。この値を「TTL(Time To Live:有効期間の意味)」と呼びます。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/514853.html
そしてTTLをツール”nslookup”で調べて見ると、86,400秒となっていた。つまり1日の設定だった。
この間は、旧サーバーのIPアドレスが使われるため、いつまでも新しいサイトが表示されず、エラー表示される結果となっていた。これを防ぐには、下記を実施すること。
DNS変更によってドメインの運用サーバーを引っ越しをさせる場合、できれば1週間は、新旧どちらのサーバーにも同じデータを残しておき、両方アクセス可能な状態を保つことが望まれます。メールも、最低1週間は旧サーバーに取りこぼしがないか確認する必要があります。
https://qiita.com/eyesonly/items/734a2bea185be30103fc
コマンドプロンプトにて”cmd”を起動し、”nslookup”と入力。つづいて、”set debug”,”set type=a”と入力して、ドメイン名を入れると詳細が表示される
実際には、24時間後に新サーバーに繋がったが、その後も数分単位で何度も、旧サーバーに接続され、「404NotFound」のエラーが発生していた。
その間、メール受信などにも影響を受けたようだった。
その他さくらスタンダードで可能なこと
他に、さくらスタンダードでは、バックアップ&ステージング機能があるので使用してみた。
バックアップ機能:スナップショットという形で、さくらのレンタルサーバ上のWEBコンテンツを保存する機能であるが、WordPressで小さいサイズはうまく行くが、容量が大きくなっているとエラーを起こしているようだ。(原因は特定できていない)
ステージングサーバ機能:本番同様のテストを行うためのサーバで、本番サーバーを運用しながら、別のサーバーでテストが出来る機能。上記のバックアップ(スナップショット)を取ったものを使う。テストが完了した後は、本番サーバーに戻すことが出来る。
上記のバックアップの容量は、契約容量(100GB)の他に、30GBの容量で8個まで取れる。
また、ステージングも別途30GBの容量内でテストランに使用出来るのが、このさくらスタンダードの特典である。
さくらのレンタルサーバ スタンダードのお申込みはこちら(公式ページ)