スリランカで感じること(その2)

どうすればスリランカは開発途上国から先進国へなれるのか

東南アジア、南アジアの開発途上国は多い。スリランカもそのひとつである。

若いインストラクターがよく私に質問してくるのは、「日本は先進国”Developed country)、スリランカは開発途上国”Developping country”だけど、その違いはどこにあるのか」と。

やや唐突な質問に我々日本人は答えに困る。けれども、最近の日本のテレビで「戦後、日本はいかにして高度成長を成し遂げたか」の番組を見て、その答えらしきものが得られるような気がする。

戦後における日本の重要な判断とその根拠

日本は戦争中、戦争に使用する戦艦、戦闘機、戦車、武器など、所謂重工業に関する研究から設計、製作まで全てを国内で賄って来た。

戦争の善し悪しは別として、その技術者は国のため全力を尽くし戦争を支え続けて来た。

終戦を迎え、日本が重工業を目指し、復興して行ったのはこの基礎となる技術があったからだと言える。

日本人は勤勉で日本のために一生懸命に働き、幸運にも朝鮮動乱などの外的要因も重なり、大きな経済成長を果たすことが出来た。

スリランカに欠乏している政策上の重要な ポイント

スリランカが開発途上国のままでいるのは、優秀な人材が国のために働いていない。海外で外国企業のために働いていることが大きな要因だと考えられる。

スリランカで優秀な成績を収めた技術者は海外でその技術を発揮し、海外から収入を得ることで満足する図式になっている。

医者、弁護士は国内でもやっていけるが、スリランカには工業が(特に重工業が)ないので、仕事を見付けにくい。

また見つけても付加価値の低い工業では、自己能力を発揮するには不十分で、高収入が期待出来ない。

スリランカにまず重工業を誘致して工業立国を果たすべきだと考える。

そうすることで、国内に多くの新しい工業や産業が生まれ、多くの優秀な人材が必要となる。工業製品の輸出とともに、国の体質も輸出による生産量の増大、雇用の拡大が期待され、タイやマレーシアのような工業国になることが期待できる。

スリランカでは、学生はまずいい学校を出て、金になる弁護士、医者を目指し、現状の社会で裕福な人生を送りたいと考えている。

医者、弁護士を目指さない他の学生は、技術者になり、海外企業で働き、収入の一部を仕送りして家族を養う。

定年になってこの国に帰って来て余生を送ると言うのが パターンとなっている。

これではいつまでたっても開発途上国から脱皮できない。

これは、全く個人の問題ではなく、国の政策の問題であるが、先の大統領はそんなことが分るほどの緻密な考えはないように思われる。

現大統領のマイティリパーラ・シリセーナに期待したいところである。

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