クスリに頼らず食事だけでLDL(悪玉)コレステロールを下げる

10年以上も前から放置して来たLDLコレステロールだけど、ついに医者の受診勧奨(D)から要治療(E)レベルに達した。最初医者はクスリの飲用を勧められたが、自力で直すことを試みた。しかしながら、1年半後に再び数値が跳ね上がり、別の病院で医者の指導の下、食事療法を行い目標の値まで下げることに成功した。

この記事では、いかに食事でLDLコレステロールを低減するかについてまとめた。

高LDLコレステロール値と付き合った十年間

慢性的に高い悪玉コレステロールの値

毎年受けている健康診断でいつも引っかかるのは、LDLコレステロールの値だった。健康診断結果の判定レベルは、119mg/dL以下が基準値(A)で、120-139mg/dLが保健指導(C)、140-179mg/dLが受診勧奨(D) 、それ以上は要治療(E)となっている。

この”D”判定”のまま放置して、十年以上が経っていた。

コレステロールは脂質の一種で、細胞膜やホルモンの材料となる体に必要不可欠なもので、HDLコレステロールと、LDLコレステロールの2種類があり血液により全身に運ばれる。
LDLは悪玉コレステロールと呼ばれ、増えすぎると動脈硬化を進行させ、HDLコレステロールは善玉と呼ばれ、余分なコレステロールを回収する。

特にLDLコレステロールが高い場合をLDLコレステロール血症と言い、動脈硬化症の最も重大な危険因子となる。

病理学的な判断は、120-140(mg/dL)未満を脂質異常、140-180(mg/dL)未満を脂質異常症、180(mg/dL)を超えると「死に至る重大な病気を発症する可能性の高い危険レベル」とされている。

放置してしまい勝ちな、悪玉コレステロール

何年も”D”判定でありながら、どうして放置しておいたのか?

定年前までは、会社での健康診断でD判定であっても半年後の再診を行う程度で、結果に関して特に健康指導のようなものはなかった。

退職後は、市の健康診断を受けていたが、市からは一度食事指導があっただけで、内容的にはコレステロールを多く含む食べ物などをパンフレットで説明するのみだった。

後は、自分で考えて的な指導で、具体的にどうすれば良いのか?と言う状況だった。

期待していた指導とは、具体的に「食事はこのようにして」、そしてその後のフォローなども徹底して行って頂くという感じであったが、現実的には、そこまでは出来ないのだろう。

とうとうLDLコレステロールがE判定の危険レベルに

D判定を放置して十年以上が経って、LDLコレステロールはついにE判定の危険レベルに達した。

結果を聞いてショックは大きかった。長年放置して来たから?・・・と、反省やら後悔など複雑な思いであった。

医者からは「年だから仕方ない、クスリを出します」と言われたのがきっかけで、今回初めて真剣にLDLコレステロール改善を行うことにした。

ただ、クスリに頼るのは嫌だったので、とりあえずクスリの処方を断り、自力で改善しようとLDLコレステロールについて調べた。

LDLコレステロール低減の実践

最初に行った対策

まず原因を考える

まずLDLコレステロールが高い原因は何かを考えて見た。

放置していたとは言え、少しばかりは食べ物に気を付け、食物繊維の摂取や大豆製品なども取って来たし、運動も毎日1時間程度の散歩は行っていた。

また、2年間のロングステイをしたスリランカでは、食事内容が日本の時と全く違っていて、日本で毎日飲んでいたトマトジュースや豆乳がなく、逆に海産物が安いためイカ、エビなどコレステロールが多い食材を好んで摂っていたにも関わらず、毎年帰国後の健康診断でLDLコレステロールの値は変わらなかった。

つまり、食事にはあまり関係がなく、年齢とともにコレステロールの吸収や回収に差が出て来ているのではないだろうかと思った。

そしたら取るべき対策は?

とは言え、年齢を戻すことは出来ないのだから、出来る対策としては、生活習慣を見直して数値を下げることしかないだろう。

と理解して、インターネット検索を行ったり、テレビ番組などで紹介されている内容を手当たる次第集め、次の方法としてまとめ、実践することにした。

  • 間食を止める・・・余分なカロリーがコレステロールを増やす
  • 豆腐、納豆、豆乳など大豆食品を取る・・・動物性脂肪より植物性のもの
  • 食物繊維を取る(ワカメ、昆布などに多い)・・・小腸でLDLコレステロールを吸収して排出
  • EPA、DHAを多く含む青魚を取る・・・動物性脂肪を控え、青魚の脂肪を取る
  • 適度な運動をする・・・運動が余分なカロリーを燃やす
  • 禁酒をして肝機能低下を防ぐ・・・肝機能低下によるLDL コレステロール分解機能の低下を防ぐ

3か月の健康診断結果は?

このような方針を決め、3月から実施した。丁度、4か月後の7月に健康受診があるので、それをひとつのゴールとして続けた。

上記の注意点を実施して、4か月後にLDLコレステロールはD判定に戻った。(EからDに下がる)

次の記事がその時に書いたもの。

その後1年半が経過して、再びLDLコレステロールがEレベルに跳ね上がる

その後、食事内容が徐々に以前の状態に戻り1年半が経過して、健康診断を受けた。するとLDLコレステロールは、再びE判定に戻ってしまった。

健康診断を受ける時、LDLコレステロール値は問題ないと絶対的な自信があったのに、それを裏切る結果には正直大変ショックだった。そして、自分では正しいと思ってやって来たのに、ここまで頑張って来たのに、他に何をすれば良いの?、など驚きと不安な気持ちが込み上がった。

加古川中央市民病院 循環器内科で診察を受ける

前回の改善方針は自己流で決めていたが、直後の健康診断ではそれなりに結果が出ていた。しかし、それを続けて来ても、「その方法ではダメだ」状態で途方に暮れていたところ、市から「受診勧告」の手紙が来たので加古川中央市民病院の循環器内科に行ってみた。

加古川中央市民病院の循環器内科の医師が数値を見て最初におっしゃったのは、「これは明らかに食事によるコレステロールの増加です」だった。

この言葉にはビックリした。自分なりに考えた食事内容が違っていた? そして、次の食事指導を受けた。

  • たまごを控える・・・コレステロールが高い食品
  • 動物性脂肪を含む乳製品を控える・・・乳製品は動物性脂肪が高く、コレステロールが高い
  • 脂肪の摂取を控える・・・油にはコレステロールの原料が含まれる

そして、これらを実施することで、2か月後の血液検査を見て判断しましょうと言うことになった。

徹底的にLDLコレステロール低減対策を取るため食事の摂取基準を定める

つまり、自己流では控えるのは間食と飲酒で、卵とか乳製品、動物性脂肪などがなかった。

これまでの自己流は間違っていたことに気が付き、今回医者の指導を基に下記の方針を立てた。

  • たまご、または卵を原料とした食品を摂らない。
  • 牛乳は豆乳に、バターはオリーブ油替え、チーズは摂らない。
  • これまで摂っていたヨーグルトは豆乳ヨーグルトに替える。
  • 牛肉、豚肉、鶏肉類は摂らず、魚の肉に替える。

今回はこの方針で取敢えず、2か月後のLDLコレステロール値の結果を見て食事由来かどうかを見極め、その後の方針を決定することにした。

食事内容を見直す方針を作るにあたって、上記の食品成分がコレステロールに与える影響を調べ、食品に含まれるコレステロールと、体内で生産されるコレステロールとに分け、それぞれの摂取方針を定めた。

コレステロールに影響を与える食品については、下記のサイトが参考になります。

コレステロールの摂取制限について-脂質の摂取は量だけでなく質が大事- | 同友会メディカルニュース
2015年2月に米国の保健福祉省と農務省が発表した「米国人の食生活に関するガイドライン」、そして同年3月に日本の厚生労働省から報告された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の両者で、今まであったコレステロールの摂取制限を設けないことが示されました。同友会メディカルニュース。予防医学を中心に役に立つ情報をお届けします...

食品に含まれるコレステロールの摂取量は、日本動脈硬化学会の推奨値では、1日最大200mgとなっている。

国民健康・栄養基礎調査によれば、日本人の20歳以上における一日平均コレステロール摂取量は、男性338mg、女性282mgです。そして、これまで日米それぞれのガイドラインや食事摂取基準におけるコレステロールの一日摂取量上限は、米国では300mg、日本では男性750mg、女性600mgとなっており、さらに、日本動脈硬化学会では、2012年度版のガイドラインで動脈硬化性疾患予防のための食事として、コレステロール摂取量は200mg/日未満に抑えることを推奨しています。


http://www.do-yukai.com/medical/71.html

これまでの食事内容を見ると牛乳、バター、チーズ、肉類などの摂取で下図の対策前の状態となっており、摂取量は、350㎎を超えていた。

今回改善策として食品に含まれるコレステロール値を200㎎以下とするための食品を見直し、魚の肉、豆乳などを中心に摂取して100㎎程度にすることにした。

また、体内で生産されるコレステロール原料は、飽和脂肪酸なので、この量についても食品を見直すことにした。これらは主に動物性脂肪に含まれるので、牛乳などの乳製品に含まれる脂肪分が原因になる。また肉類などに多く含まれているのでこれらの摂取を制限することで、コレステロール量を低減することが出来る。

飽和脂肪酸の摂取量は1日最大13gとしているが、その根拠は、一日の必要カロリーを体重から計算し、その20%を脂質から摂り、その内飽和脂肪酸を7%以下とした。

これまでの食事内容を見てみると、牛肉、豚肉などをはじめ、乳製品の摂取で下図の対策前の状態となっており、摂取量は15g程度になっていた。

今回の改善策として、飽和脂肪酸の摂取量を13g以下となるよう肉類、乳製品などの動物性脂肪の摂取を見直し、魚類、豆乳、オリーブ油などを中心に摂取することで4g以下に抑えることにした。

実際に、対策前と対策後の食品成分を調べてみたのが次のグラフである。

このデータは下記の期間に実際に毎日の食事で食品の量を記録し、食品成分表で各成分を計算したもので1日平均として算出している。

対策前:2018年7月25日~2018年8月8日(15日間)
対策後:2020年4月1日~2020年4月30日(30日間)

「対策前」は、最初のコレステロール低減対策を行い、健康診断を受けた後の通常の食事に戻した状態で、「対策後」は、血液検査を受けるためコレステロール低減対策を行いっている最中のものである。

レーダーチャートの値は各軸の食品成分の目標値(または、基準値)に対するパーセント値で表示している。

例えば、コレステロールの基準値200㎎以下に対し、「対策前」は142.2%(284.4㎎)で「対策後」は46.2%(92.4㎎)となっている。

また、飽和脂肪酸についても、「対策前」が117.7%(15.3g)に対し、「対策後」では、62.3%(8.1g)となった。

その他の食品成分については、全体的に目標値に近づけることを念頭においたため、「対策前」と比べ輪が小さくなっている。

2か月後の結果は、初めてC判定になる

そして2か月後の血液検査では、LDLコレステロールがC判定となった。C判定は初めてで医者からは、「この値なら、薬は無くても大丈夫」と太鼓判を頂いた。

今回の食事制限、あるいは食事療法は、血液検査をゴールに少々我慢をした食事内容であったので、もう少し限度を緩くすることも可能である。

次の検査に向けた食事内容を決める

この食事内容でも持続は可能であるが、動物性タンパク質の摂取も重要でああることから少し見直すことにした。

半年後に血液検査を行うことを決めていたので、そこをゴールにコレステロールの許容限度を100㎎、飽和脂肪酸の許容限度を6gまでに緩和してみる肉類も摂取することにした。

まとめ

自己流でのLDLコレステロール低減対策が全くの的外れであったことで、一時的に抑えられていたLDLコレステロールが跳ね上がった。

今回、医者から指導を受け、ポイントを再認識したのが正直なところで、普段食事に気を付けていても「好き嫌い」や「嗜好」の個人的要素が加わり実践が難しいことも分った。

今回、食事から来るLDLコレステロール増加要因を実際のデータを取りながら数値で把握することで具体的な成果が得られたと思い、今後も続けて行きたいと思う。

なお、データは下記文部科学省が提供している「食品成分データベース(日本食品標準成分表2015年版七訂)」を無料ダウンロードして計算しています。

食品成分データベース
食品成分データベースは、食品成分に関するデータをインターネットを通じて提供しているものです。
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